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第7回 薬の情報はどう調べればいい?(PMDAの使い方)

こんにちは! ネジです!

今回のテーマは「薬の情報の調べ方」です。

インターネット上には様々な情報がありますが、「誰かが調べたものではない情報」からなにかを知る機会は少なくなっているように思います。

もちろん、専門家やその情報について詳しい人から教えてもらえたり、まとまった情報を一度に手に入れられることは良いことですが、情報に偏りが出ている可能性があることも考えなければなりません。

今回は薬剤師が使用する情報源についてのお話です。

Contents

医薬品の情報源 PMDAとは?

PMDAとは”Pharmaceuticals and Medical Devices Agency”の略で、医薬品医療機器総合機構という独立行政法人です。

薬剤師が薬の情報を調べる方法として最も一般的なのはPMDAのサイトにアクセスし、添付文書の情報を確認することです。

添付文書は医薬品を適正に使用するための公的文書であり、医療関係者向けに記載されています。

独立行政法人 医薬品医療機器総合機構←こちらからアクセスできます。

まずはPMDAの使い方から説明していきたいと思います。

PMDAの使い方

「PMDAの使い方」と言ってもPMDAで調べられる内容は多岐に渡るため、全て紹介することはできません。

今回は特に薬について調べる上で重要な以下の3点について説明をしたいと思います。

  • 添付文書の調べ方
  • 患者向け情報の調べ方
  • RMPの調べ方

RMP(Risk Management Plan)とは医薬品リスク管理計画と呼ばれるもので、薬剤師でも活用できていない方もいるかもしれないものです。

そのため、RMPがどのようなものかも解説できればと思います。

添付文書の調べ方

まず、薬剤師も活用している添付文書の調べ方です。

手順1:PMDAのサイトへアクセスし、「医療医薬品」をクリック

手順2:調べたい医薬品名を検索欄に入力する(今回はアダラート®を検索)

手順3:添付文書欄から開く形式を選択する

上記の3ステップで添付文書を調べることが可能です。

調べたい薬の名前を変えて頂ければ、処方箋医薬品は全て調べることができます。

簡単な補足ですが、「手順2」で入力する際はひらがなでも検索可能です。

また、「手順3」で添付文書を開く際の形式ですが、紙で印刷して見るという場合は「PDF」を、パソコンの画面上で見るという場合は「HTML」の形式をおすすめします。

 

添付文書で特に確認すべき部分は以下のような点です。

警告:過去に死亡例や重い副作用が報告されいてる場合の注意点を記載

禁忌:薬の使用を避けるべき条件を記載

効能・効果:期待される効果を記載

用法・用量:薬を使用する際の飲むタイミングや飲む量を記載

慎重投与:禁忌ほどではないが使用する際に注意するべき条件を記載

相互作用:併用すると影響がある薬剤を記載

副作用:添付文書の作成時点で確認されている副作用を記載

薬物動態:薬物動態パラメータを記載

「警告」について過去に死亡例や重大な注意点が無ければ記載されません。

また、添付文書は「効能・効果」の追加や「副作用」が新しく報告された場合などに更新されることがあるため、最終改定日がPDF形式では1ページ目の左上、HTML形式では一番上に記載されています。

薬の情報は日々更新されていますが、PMDAのサイトで検索した添付文書はその時点での最新の情報です。

薬剤師がPMDAで検索する意味としては”最新の情報にアクセスするため”という部分も大きいです。

患者向け情報の調べ方

次に患者向け情報の調べ方です。

手順1:PMDAのサイトへアクセスし、「一般の方向け」をクリック

手順2:自分が調べたいコンテンツをクリック

今回は患者向け情報の内容として「重篤副作用マニュアル」と「患者向医薬品ガイド」について説明します。

「重篤副作用マニュアル」をクリックすると次のページが表示されます。

「重篤副作用マニュアル」は薬を使うことで起こる副作用のうち、早期に対応が必要だと考えられる副作用、放置してしまうと生命に関わる副作用の症状やどのような対応が必要になるかという内容が記載されています。

ただ、このページを使うためには服用の名前を知らないといけない点が難点です。

 

「患者向医薬品ガイド」をクリックすると次のページが表示されます。

上の図で赤枠で囲った「患者向医薬品ガイド一覧から探す」をクリックすると医薬品名が並んだページが表示されます。

その中から調べたい薬を選択すると添付文書の内容を一般の方向けに理解しやすくした説明書が表示されます。

 

また、「重篤副作用マニュアル」と「患者向医薬品ガイド」は添付文書の調べ方の手順3のページからも見ることができ、こちらの方が個人的には調べやすいと思っています。

手順3のページで「表示する文書を変更」、「重篤副作用マニュアル」と「患者向医薬品ガイド」をチェックしてするとそれぞれの欄ができ、選択できるようになります。

上の図では「添付文書」、「患者向医薬品マニュアル」、「重篤副作用マニュアル」のみチェックした状態にして見やすくしていますが新しく欄が追加されたのがわかるかと思います。

特に「重篤副作用マニュアル」は対象の薬剤に合わせて必要なものを表示してくれるため、こちらの方法の方が調べやすいと個人的には感じます。

RMP(医薬品リスク管理計画)について

ここまで添付文書等の調べ方について説明をしてきました。

添付文書は公的な文書であり、薬に関する知識がベースにあることを前提にした内容ですが、その内容を一般の方向けにした情報もあるということを理解して頂けたかと思います。

ここからはさらに一歩進んだPMDAの使い方としてRMPについて説明していきたいと思います。

新薬の不足情報を補うための計画

第3回の医薬品開発についての話の中でも触れましたが、臨床試験は「健康な成人」→「少数の患者」→「多数の患者」という順番で試験がされ、効果だけでなく、副作用なども検討した上で承認を得て、広く使用されるようになります。

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臨床試験全体で数千~1万人程に薬が投与されていますが、実際に新薬が使われるようになれば数十万~数千万人の患者に投与されます。多くの人に投与されるようになることで臨床試験だけでは見つけることができない副作用やどのような患者にその副作用が起きやすいかなどの情報が集まるため、市販後も調査は続けられます。

そのため「薬は人に投与されて成長していくもの」、つまりは多くの人に長い期間投与されることで様々な情報が集まり、やっとその評価が分かるものという言われ方もします。

そのための情報を集めるためにRMPが存在します。

RMPは、「重要な特定されたリスク」、「重要な潜在的リスク」、「重要な不足情報」という3つの安全性検討事項を想定し、それに対して情報収集や情報提供をどのように行っていくかを考えておくことでその薬を服用することで患者が被る不利益を最小限に留めようという計画です。

RMPの調べ方

手順1:PMDAのサイトへアクセスし、「医療従事者向け」をクリック

手順2:「医薬品リスク管理計画」をクリック

「医薬品リスク管理計画」をクリックした後は一覧から探すか、最初に説明した「添付文書の調べ方」と同じように検索することでRMPを調べられます。

RMPは不足している情報を集めることと、情報が不足していることで患者が不利益を被らないようにすることが目的であるため、全ての医薬品に対して作成されているわけではありません。

そのため、検索した薬剤にRMPがない場合もありますが、その場合は添付文書の副作用の項目を見て頂ければいいのではないかと思います。

まとめ

では、今回のまとめです。

まとめ

・薬の公的情報である添付文書はPMDAで調べられる

・PMDAには患者向け情報も豊富にある

・薬の情報は日々更新されている

 

第3回「医薬品の開発」の部分でも簡単に触れましたが、日本で販売される医薬品は臨床試験の結果をPMDAに提出し、審査を受けています。今回は紹介しませんでしたが、その審査の情報や市販後の副作用情報などもPMDAから調べることが可能です。

また、添付文書の内容は”公的な文書”という性質上、曖昧に感じる部分もあるかと思います。

例としては、「~~が望ましい」や「○○な患者に投与した場合、安全性は確立していない」というものです。

高齢者や妊娠している方の使用についての説明文で多い表現ですが、”使用できるかもしれないけど、100%安全とは言えないから保証はしないよ”という表現だと解釈してもらえればいいのではないかと思います。

そのような場合に薬剤師は論文や他のガイドラインを参考にしていますので、気になる方は薬剤師に直接相談してもらうのが一番良いのではないかと思います。

では、次回もよろしくお願いします!

ABOUT ME
ネジ
6年制薬学部を卒業し、現在は地方の薬局で管理薬剤師をしています。 薬や薬局についての情報の他、株式投資や読んだ本の紹介などしていきたいなと考えています。
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