こんにちは! ネジです!
今回は名著『FACTFULNESS 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣
』の紹介です。“FACTFULNESS(ファクトフルネス)”とは”事実に基づいて”という意味の造語です。
この本では著者が世界中で経験した事例や実際のデータに基づき、人間が思い込みにより如何に事実とは違った知識を事実として捉えているかという内容が紹介されています。本質的には知識を正しく得られていない以上に思い込みによる間違い方の癖を学ぼうというものだと私は感じています。
また、この本はMicrosoftの創業者 ビル・ゲイツが2018年にアメリカの大学卒業者に贈った本としても有名です。当時、希望した方は無料(ビル・ゲイツが費用を負担)で手にすることができました。
なぜ、この本を新しく社会人になる人たちに贈ったかと言えば、この本が正しい理解のために思い込みを捨てることと、知識をアップデートしていくことの重要性を学べる本だからでしょう。公衆衛生学の知識(=世界の現状)も知ることができますが、どちらかと言えばそれはおまけ的なものなのだと思います。
ビル・ゲイツは「世界がより良くなっていることを理解することで、悲観的な見方をせずに”どうすれば改善できるのか?”と考えられるようになるだろう」という発言をしています。
世界の貧困に長い間向き合ってきたビル・ゲイツだからこそ、事実に基づいて考えることの大切さを学べるこの本を手にしてほしいと願ったのだと思います。
Contents
あなたはファクトフルネスか?
ファクトフルネスは13問のクイズに挑戦することから始まります。クイズはどれも3択で、世界の現状を知っているかどうかを試すものです。
その中から3つを抜粋しましたので皆さんも考えてみてください。
問1 世界の平均寿命は現在、およそ何歳でしょう?
A 50歳
B 60歳
C 70歳
問2 過去20年間で世界の人口のうち、極度の貧困にある人の割合は?
A 約2倍になった
B あまり変わっていない
C 半分になった
問3 いくらかでも電気が使える人は、世界にどのくらいいる?
A 20%
B 50%
C 80%
答えは後述しますが、この質問で著者のハンス・ロスリングが伝えたいことは世界の公衆衛生的な統計ではなく、思い込みが事実を事実として認識することを歪めてしまっていること、つまり如何にファクトフルネスに欠けている(=事実に基づいていない)かということです。
ちなみに13問のクイズのうち13問目は「気候の専門家がこれからの100年間で気温がどうなると考えているか?」というもので、これは地球温暖化が叫ばれている通り「暖かくなる」が正解であり、正答率は86%だったそうです。
これは正しい専門家が正しく伝えたことで共通認識にできた好例だと著者は説明していますが、この13問目を除いた12問の平均正解数は12問中2問であり、割合で言えば約17%でした。
正解数よりも大事なこと
平均正解数に対して著者は以下のように述べています。
仮に、このクイズを動物園のチンパンジーに出したとしよう。まず、A・B・Cのいずれかが書かれた大量のバナナを用意し、囲いの中に放り込む。わたしは囲いの外からクイズの問題文を大声で読み上げる。チンパンジーが最初に選んだバナナの文字が答えというわけだ。
もちろん実際にはやらないが、想像してみてほしい。チンパンジーの正解率は33%に近くなる。つまり12問中、だいたい4問正解する。先ほど書いた通り、人間の平均点は12問中2問正解だった。チンパンジーは適当にバナナを拾うだけで高学歴の人たちに勝てる。
また、それぞれの3択問題には不正解の選択肢が2つあるが、チンパンジーはどちらも同じ確率で選ぶ。かたや人間はというと、不正解の2つのうち、よりドラマチックな方を選ぶ傾向が見られた。ほとんどの人が、世界は実際よりも怖く、暴力的で、残酷だと考えているようだ。
『FACTFULESS』16~17ページより抜粋
ちなみに、先ほどの質問の正解は以下のようになります。
問1 世界の平均年齢は? C 70歳
問2 極度の貧困は? C 半分になった
問3 電気が使える人は? C 80%
この記事を読んで頂いている皆さんはどうでしたでしょうか?
結局はクイズなので知識があるかどうかが正解数には直結します。なので、正解できなかったからと言って落ち込む必要はありません。
ただ、著者が訴えたいことは知識の有無以上に上記の引用で下線を引いた部分だと思います。
もちろん、事実を知っているかどうかも大切です。
しかし、チンパンジーに比べて人間がより悪い状況の選択肢を選ぶ傾向が強かったことが、それ以上に著者がファクトフルネスが重要だと訴えている根拠なのだと思います。
そして著者はファクトフルネスを阻むのは10の”本能”であると記載しています。
10の”本能”による思い込み
著者が提唱する10の本能が以下のものです。
1.分断本能「世界は分断されている」という思い込み
2.ネガティブ本能「世界はどんどん悪くなっている」という思い込み
3.直線本能「世界の人口はひたすら増え続ける」という思い込み
4.恐怖本能 危険でないことを、恐ろしいと考えてしまう思い込み
5.過大視本能「目の前の数字が一番重要だ」という思い込み
6.パターン化本能「ひとつの例が全てに当てはまる」という思い込み
7.宿命本能「すべてはあらかじめ決まっている」という思い込み
8.単純化本能「世界はひとつの切り口で理解できる」という思い込み
9.犯人探し本能「誰かを攻めれば物事は解決する」という思い込み
10.焦り本能「いますぐ手を打たないと大変なことになる」という思い込み
『FACTFULESS』目次ページより抜粋
“本能”という言葉の意味を調べると
「後天的な経験・学習を経ずに、動物が先天的にもっている一定の行動様式」
と記載されています。
人間は他の動物よりも考えることが得意なはずですが、「”考える”ということの裏には10個の本能と呼べるようなバイアスがあるから気を付けよう」というのがこの本から学べることです。
そのバイアスが影響してチンパンジーが適当に選んだ回答よりも人間が考えて選んだ回答の正解数が低く、誤答の場合もより状況が悪い選択肢を選ぶ傾向が見られたということでしょう。
10の”本能”に対するファクトフルネス(事実に基づくこと)
『FACTFULNESS』では10の”本能”(=思い込み)を10の章に分け、エピソードを交えながら詳しく解説していますが、各章の最後にはその”思い込み”を解消するためのファクトフルネス(事実に基づくこと)として”どのように考えるべきか”が提示されています。
一例としてですが、単純化本能のファクトフルネスとしては以下のように記載されています。
ファクトフルネスとは…ひとつの視点だけでは世界を理解できないことを知ること。
・自分の考え方を検証しよう
・知ったかぶりはやめよう
・めったやたらとトンカチを振り回すのはやめよう
・数字は大切だが、数字だけに頼ってはいけない
・単純なものの見方と単純な答えには警戒しよう
『FACTFULNESS』259~260ページより抜粋
上記の項目にさらに解説が記載されているのですが、気になる方は本を手に取って頂ければと思います。
まとめ
今回は『FACTFULNESS
』についての記事でした。近年はインターネットで様々な情報を手に入れられるようになった反面、情報リテラシーの重要性が増しています。ポジショントーク(自分自身に有利になるような発言を行うこと)やステルスマーケティングにも注意が必要です。
また、社会人になると忙しさから学びの時間が減る方も多いと思います。学んでいたとしても学ぶ内容が業務に関係のある専門的な内容になる、交友関係が限定的になるなど知識の偏りなども起きやすい状況になると言えるのではないでしょうか?
経験年数が長くなれば前例に頼ることが増え、知らず知らずに思い込みを抱えて事実に基づくことを疎かにしてしまうこともあるかもしれません。
『FACTFULNESS』は新社会人からベテランの方まで全ての人にオススメの本だと思いますが、特に思い込みが少ない若手の方に読んでもらうと人生を豊かにできるのではないかと思います。
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共著者でもあるハンス・ロスリングの息子夫婦が世界の人々の暮らしを理解するために「DOLLAR STREET(ドル ストリート)」というサイトがあります。
世界の人々の収入による暮らしの違いを見ることができます。
下の図をクリックすることでサイトに飛べるようになっているのでお時間があるときにでもどうぞ
この本を読むことで皆さんの人生が少しでも豊かになることを望みます!
では、また!