こんにちは! ネジです!
今回は
将来や家族のため、薬について学びたい
最近、尿酸値を指摘されて薬を飲むことになりそうor飲むことになった
以前から尿酸値を下げる薬を飲んでて、自分の薬について気になる
こんな方のための記事です。
以下のような書籍を参考にしています。
『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版 ダイジェスト・ポケット版』(2019年改訂)
尿酸値が高くなる原因や高くなることで注意が必要になる疾患については以下の記事にまとめました。
気になるという方はご覧ください。
では、学んでいきましょう!
Contents
尿酸値を下げる薬の分類
“木を見て森を見ず”となるのはあまりよくありませんので、細かい点を見ていく前に大まかな分類から見ていきましょう!
尿酸値を下げるために飲む薬としては大まかに分けて、
尿酸生成抑制薬
尿酸排泄促進薬
尿アルカリ化薬
上記の3つの分類があります。
尿酸生成抑制薬
尿酸は肝臓で作られますが、上の図のように尿酸はプリン体を代謝(身体から出すために形を変える)することで生じます。その際に重要なのがキサンチンオキシダーゼという酵素です。
この酵素があることでプリン体が尿酸となる反応が起きやすくなり(反応が活性化する)、身体から排泄されます。
しかし、尿酸が高い人にとってはできれば尿酸は作られてほしくないものですよね?
そのため、尿酸生成抑制薬はこのキサンチンオキシダーゼという酵素の働きを抑えることで尿酸の生成を低下させます。
名称としては以下のような薬です。
アルプリノール(ザイロリック®)
フェブキソスタット(フェブリク®)
トピロキソスタット(トピロリック®)
尿酸排泄促進薬
尿酸排泄促進薬は文字通り、尿酸を身体の外に排泄させるのを助ける働きがあります。
尿酸が高くなる原因として多いのは尿酸排泄低下型で約60%程度です。混合型を合わせれば、それ以上の割合である尿酸排泄的を解消しようというのがこの薬です。
ここで少し腎臓の話にそれますが、そもそも腎臓は血液中の不要物を濾過してきれいな血液にするための臓器です。
そして、腎臓が尿を作る過程で1日に180リットル程度の”原尿”が作られます。
尿のもとになる”原尿”ですが、180リットルも水分が無くなったら確実に人間は干からびてしまいますので、そこから水分と必要な栄養素を取り戻すという作業も腎臓は行っています。
実際に身体の外に出る尿は1日に1~2リットル程度であり、原尿のほぼ全て(約99%)が身体の中に戻っていることが分かるかと思います。
上記の流れを簡単に言うと、ザルのようなもの(糸球体)で本当に必要なものだけは残すようにして大雑把に原尿を作り、そこから必要なもの(水分と栄養素等)を回収するというのが腎臓の役割であり、回収されなかったものが尿となり体外に排泄されているということです。
ここで尿酸の話に戻りますが、尿酸は最初のザルはほぼ通るけどそのあとで90%近くが回収されるという性質があるため、その回収作業をできなくして尿酸値を下げる(身体の外に出す)のが尿酸排泄促進薬です。
名称としては以下のような薬です。
ベンズブロマロン(ユリノーム®)
プロベネシド(ベネシッド®)
ブコローム(パラミヂン®)
尿アルカリ化薬
尿アルカリ化薬は尿酸排泄促進薬と一緒に使用されます。
というのも、尿酸排泄促進薬で尿の中の尿酸が増えてしまうと尿酸が濃くなり過ぎて尿路結石を起こす可能性があるため、尿をアルカリ化して結石の発生を抑制するのが目的です。
クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム(ウラリット®)
その他の薬
その他の薬として尿酸分解酵素薬という分類の薬(ラスブリカーゼ)もありますが、がん化学療法の際に起きる高尿酸血症のみにしか使用されないため、今回は割愛します。
それぞれの薬の使い方
尿酸値が高くなる原因と高くなることで注意が必要な疾患については以下の記事でまとめています。
その中で原因として1番大きいのは
尿酸排泄低下
であり、全体の60%を占めていました。(混合型も含めると90%)
つまり、尿の中にうまく尿酸が出ていかないことが原因としては大きかったのですが、実際に使われる薬は尿酸生成抑制薬のことが多いです。
それは、副作用や薬としての使用しやすさの点で比較した際に尿酸排泄促進薬よりも尿酸生成抑制薬の方が良いためです。
尿酸排泄促進薬の特徴
尿酸排泄低下型に適した働き方をする
尿中の尿酸が増えることで尿路結石ができやすくなる
ベンズブロマロンは肝機能障害を起こすことがある
高尿酸血症の原因として尿酸排泄低下型が多いのであればそれに合った働き方をする薬(尿酸排泄を多くする薬)を使用することが本来であれば適しているのですが、デメリット部分の「尿路結石」や「肝障害」があるために、全体の使用量としては少ないのが尿酸排泄促進薬です。
「尿路結石」は以下のような要因で起きやすくなります。
尿量低下(水分摂取不足)
酸性尿
尿中尿酸排泄量の増加
尿酸排泄促進薬は上記のうち、「尿酸排泄量」を増加させるため、他の要因を改善することで尿路結石を作らせないようにします。
具体的には、「1日に2リットル以上水分を摂取する」、「尿アルカリ化薬を併用する」などです。そうすることで尿路結石の発生を予防します。
また、肝障害はベンズブロマロンで報告されており、薬を使用する際のルールとしても「使用開始後少なくとも6か月間は必ず、定期的に肝機能検査を行うこと」とされています。
この肝障害については薬によって起きるものであり、尿路結石のように明確な予防法はありません。そのために、「肝障害が起きやすい初期のうちは特に注意をして、もし症状が現れたらすぐに発見できるようにしましょう」と決められているのです。
過去に尿路結石や肝障害になったことがある人の場合には使えなかったり、細心の注意が必要になるため、薬を使用するにあたっての配慮すべき点が多いことが使用量の少なさにつながっています。
尿酸生成抑制薬の特徴
尿酸排泄促進薬に比べて重篤な副作用が起きにくい
尿路結石や肝障害がある人でも使うことができる
水分摂取目標がない
使用経験が短く、情報が少ない(フェブキソスタット・トピロキソスタット)
現在の高尿酸血症に対する薬物療法のメインは尿酸生成抑制薬の使用です。
実際の現場でも、新規に治療を開始する場合、尿酸生成抑制薬(特にフェブキソスタット)が使用される印象が強いです。
尿路結石や肝障害を気にする必要が少なく、水分摂取目標もありません。(水分摂取はした方が良いです)
尿酸生成抑制薬のデメリットは、アロプリノールを使用する際に腎臓が弱い人では使用量の調節が必要だったり、皮膚にアレルギー症状が出やすい報告があること、フェブキソスタット(2011年5月発売)とトピロリックは(2013年9月発売)と使用経験が短いことが挙げられます。
また、尿酸生成抑制薬がキサンチンオキシダーゼという酵素の働きを抑えることは前述しましたが、この酵素はカフェインの分解にもかかわっているため、カフェインの作用が強く出る場合があることも注意しなければならない点です。
最近ではフェブキソスタットに重大な副作用の懸念なども出ており、この点については近いうちに記事を作成予定です。
まとめ
高尿酸血症の薬は尿酸を”作らなくする薬”か”おしっこと一緒に出す薬”
原因は”排泄低下”が多いが、使いやすさから”作らなくする薬”が使われやすい
今回は高尿酸血症の際に使用される薬についてまとめました。
ベンズブロマロンでの肝障害など副作用についても記載しましたが、副作用は必ずしも起きるわけではありません。
注意事項として必要なため記載をしておりますが、半年から1年以上、安定して使えているのであれば不安になる必要は少ないと考えられます。
さらに詳しく知りたいという方は薬剤師向けの記事を近日中にアップする予定ですのでそちらをご覧ください。
では、次回もよろしくお願いします!