こんにちは! ネジです!
今回は
健康診断で尿酸値が高いと指摘を受けてしまった
痛風発作で痛い目にあって、これから薬を飲むことになりそう
という方のための記事です。
今回の記事は、日本痛風・尿酸核酸学会の『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版 ダイジェスト・ポケット版(2019年改訂)を参考にしています。 』
では、さっそく学んでいきましょう!
Contents
尿酸値が高い人は世の中にどれくらいいるの?
一般的な痛風の診断基準は以下の図のようになります。
血液検査で尿酸値が7.0mg/dLを超えると高尿酸血症と診断され、基本的には生活改善(食生活の改善)を行うことが推奨されます。
そして、食生活の見直しで数値が改善されない場合に尿酸値を下げるための薬を使用することになりますが、痛風発作を起こしたことがなければ、尿酸値が8.0mg/dL未満の場合は薬を使わないことが一般的です。
日本で高尿酸血症と診断されている人の数は年々増加傾向にあり、2010年のデータで男性の20%、女性で5%と報告されています。
また、痛風だけに限定をすると30歳以上の男性では1%を超えていると想定されています。
女性で20人に1人というのはあまり多くないような気もしますが、男性の5人に1人はなかなか多いと感じますね。
友人や職場の同僚に1人以上はいてもおかしくないという数値です。
尿酸値が高くなる原因は?
上の図は身体の中の尿酸の流れです。
尿酸は約1200mgが常に体内にあり、食事や肝臓で作られる分として約700mgが入ってきますが、約200mgが腸管から糞便として、約500mgが腎臓から尿として排泄されるために常に収支が一定になります。
この収支のバランスが崩れることで尿酸値が高くなるのですが、主に3つの分類があります。
尿から出ていくはずの尿酸がうまく出せずに身体の中に留まってしまう状態
尿酸排泄低下型:身体の中で作られる尿酸が多くなってしまう尿酸産生過剰と尿以外のルートから出ていくはずの尿酸がうまく出せなくなる腎外排泄低下の2つの要因が合わさり、結果として腎臓へ流れる尿酸が増えた状態
腎負荷型:
混合型:尿酸排泄低下型と腎負荷型の両方の特徴を持つ場合
割合としては尿酸排泄低下型が約60%、混合型が約30%、腎負荷型が約10%と言われています。
要因として遺伝的因子もありますが、食事や生活習慣も挙げられ、脂肪が蓄積することで尿酸が体外に排泄しづらくなることなども挙げられます。
補足になりますが、私が大学で学んだ頃は腎負荷型を尿酸産生過剰型と呼んでいました。しかし、現在では腎外排泄の低下も関与していることから腎負荷型と名称を変更したようです。
尿酸値が高くても痛風になるだけでしょ?
“尿酸値が高い=痛風”というのが一般的なイメージかと思います。
つまり、「尿酸値が高くてもせいぜい痛風発作で足が痛くなるだけ」と考えるのではないでしょうか?
そして、足が痛くなるだけであれば
痛みを我慢すればいい
一時的なことだから我慢さえできれば尿酸値は高くても気にしない
という考えになってしまうかもしれません。
また、痛風発作の症状が出てしまう人は30歳以上の方で1%を超える程度とあまり多くはありません。そのため、痛風発作の経験がなく、尿酸値が高くても気にしていないという方も相当数いると考えられます。
最近では尿酸値が高いことで起きる弊害が多く知られるようになってきました。
尿酸値が高いことと関連すると考えられている疾患
代表的なものに以下のようなものがあります。
高血圧
糖尿病
慢性腎臓病
心疾患
メタボリックシンドローム
この中で腎臓病や高血圧、心疾患に対しては独立した危険因子、つまり、尿酸値が高いことがそれぞれの疾患になりやすくする可能性があると考えられています。
また、尿酸値が高いほど将来的に糖尿病やメタボリックシンドロームになる可能性が高くなるという予測因子となる可能性も指摘されています。
もともと高尿酸血症の患者の80%に生活習慣病(高血圧、糖尿病、脂質異常症など)の合併があることが知られていました。つまり、「尿酸値だけが高い」という人は少ないのです。
そのため、いろいろと研究をしていく中で上記のような疾患との関連性が指摘されるようになってきています。
そもそも尿酸ってなに?食事はどうすれば?
尿酸とはなにか?
尿酸は簡単に言うと身体を作るもとであるDNAやRNAを身体から捨てるときに作られる物質です。
人間の身体は日々、細胞を作り変えているため、不要となったDNAやRNAは分解して体外に出すのですが、その際に作り出されるのが尿酸です。
DNA、RNAの原料であるアデニンとグアニンという物質が代謝されることで生成されます。
このアデニンとグアニンが持つ構造をプリン骨格と呼び、この構造を持つ物質を総称してプリン体と呼びます。
ビールなどでおなじみのやつですね。
食事の影響は?
尿酸が高くなる食べ物と聞くとお酒、特にビールのイメージが強いと思いますが、お酒だけではありません。
『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版 ダイジェスト・ポケット版 』(2019年改訂)に記載されている食事と尿酸値の関係を挙げると以下のようになります。
アルコールや糖質の摂取過剰は尿酸値を上昇させる
アルコール、糖質、肉類、魚類の過剰摂取は痛風発症頻度を上昇させる
DASH食、地中海食、ビタミンC,果物・大豆食の摂取は尿酸値を低下させる
乳製品、コーヒーの摂取は痛風発症頻度を低下させる
プリン体をカットしたお酒も販売されていますが、アルコールを含んでいるので尿酸値を上げる作用があることは覚えておいて頂けると良いかと思います。
DASH食は野菜やミネラルが豊富な食事
ハーブや自然のスパイスを使って味付けし、加工肉や赤身肉などを控える食事
尿酸値が高くなる原因として3つの分類を挙げましたが、原因の中で一番大きな割合を占める尿酸の排泄低下は自分で調節することができません。
食事で下げられる割合にも限度があるため、食事を変えるだけで尿酸値が急激に下がるということはありませんが、食事を変えることで体重減少(肥満の改善)などの効果も得られれば、尿酸の排泄が行われやすくなるなど、尿酸値の改善に繋がると考えられます。
また、1日の尿量が2リットル以上になるよう、十分に水分摂取を行うことも推奨されています。
まとめ
尿酸値が高いと痛風だけでなく、高血圧や腎臓病などにも注意が必要
尿酸が上がる要因は大きく分けて3分類
まずは食事内容の見直しを!
今回は、高尿酸血症の病態や尿酸が高いことで起きる影響についてまとめました。
薬物治療についても近々まとめる予定ですので興味のある方はご覧ください。
追記:尿酸値を下げる薬について記事を作成しました!
では、次回もよろしくお願いします!