薬学生・新卒薬剤師向け

【就活生向け】調剤薬局での働き方

こんにちは! ネジです!

今回は

薬剤師の就職で考えるべきことは?

4月から薬学部の6年になるけど、就職のビジョンが見えない

調剤薬局に就職を考えてるけど、実際どうなの?

という方に向けた記事です。

主に就活を控えた薬学生ですね。

就活自体は他学部の学生よりも簡単な薬学部(薬剤師になれる学科)ですが、選べるものならしっかりと選んでおいたほうが後悔は少ないと思いますので今回の記事を参考にしてみてください。

実務実習なども経験しているため、調剤薬局の業務について理解されていると思うので細かな勤務内容というよりかは調剤薬局の環境についての部分です。

また、無事に国家試験に合格し、4月から薬剤師として働き始める方の心の準備となれば幸いです。

では、さっそく見ていきましょう!

Contents

新人薬剤師の1年間はどのようなものになるか?

まず、働く環境を知る前にある程度スタンダードな薬剤師の初年度についてです。

就職先の企業規模にもよると思いますが、大体以下のような流れになります。

4月 新人研修(3日~1か月程度)、店舗配属、OJTの開始

5~6月 保険薬剤師の登録が完了(服薬指導の開始)

7~9月 新人全体の研修

10月 日本薬剤師会学術大会に参加

4月:新人研修→配属店舗でのOJT(On the Job Training)

大企業の場合は4月は1か月間かけて新人研修をしながら配属先店舗の選定などを行う場合もあるようですが、数店舗~数十店舗程度のチェーン店の場合は3日~2週間程度で新人研修が終わり、配属先店舗での実務を通した研修(OJT)に移る場合が多いかと思います。

配属後のOJTではその店舗のルールや調剤等、実務で必要な知識を学びます。

というのも、薬剤師国家試験に合格しても、保険薬剤師の登録が終わらないうちは保険薬剤師として働けないため、その期間は薬剤師として服薬指導等の業務を行うことができません。

ですので、それまでの期間に店舗の一員として働けるように「薬剤師として知らなければならないこと」以外の部分も知ってもらおうというような感じですね。

4月は慣れない8時間労働の始まりや初めての一人暮らしで生活リズムを作るまでが大変だったり、会社によっては新入社員レポートの提出が必要だったりと、学生から社会人への切り替えを行う時期となります。

5~6月:保険薬剤師の登録完了!服薬指導の始まり

保険薬剤師の登録は薬剤師国家試験の合格通知が届いてから行う必要があり、4月中旬以降に登録希望が集中するため、登録完了の通知が来るのが5~6月になることが多いという背景があります。

そのため、新人薬剤師は保険薬剤師の登録が終わる5~6月から実際の患者さんへ服薬指導をするようになり、そこからは少しずつ服薬指導に慣れ、業務量を増やしていくことが求められるようになります。

5~6月は患者さんへ服薬指導を行う中で悩むことが出てきたり、自分の能力不足を実感する時期かと思います。

7~9月:業務の幅を少しずつ広げていく期間

7~9月ぐらいまでに新人の進捗を確認するような研修などを盛り込んでいる会社もあるようですが、大体の目安として入社半年程度である程度1人前として扱われるようになり、それからは自己研鑽で知識を広めていく段階となるはずです。

店舗の状況等によっては在庫管理や在宅業務など、様々な業務を経験しながら学んでいく期間となるのではないかと思います。

そしてこのあたりから店舗の業務に慣れてきて自己研鑽のペースが鈍るような方も少しずつ出てくるかと思います。

10月:日本薬剤師会学術大会への参加

毎年10月頃に行われる日本薬剤師会の学術大会に参加し、他店に配属された同期と久しぶりに会ってお互いの近況を話すようなタイミングになるという会社も多いのではないかと思います。

また、私も薬剤師として半年間働き、店舗での業務に慣れてきた10月頃に自己研鑽のモチベーションが下がってしまった記憶があります。

これは個人の状況によりますが、配属店舗の環境も影響し、「これぐらいできればなにも困らないのでは?」と慢心してしまうかもしれません。

なので私としては可能であれば学会に参加し、自己研鑽のモチベーション維持を図れる機会として使うとよいのではないかと思います。

それ以降・・・

新人薬剤師の1年目と書きましたが、概ね半年間が各会社の新人教育期間となっており、半年を過ぎたあたりから一人の薬剤師として扱われるようになるはずです。

この新人教育期間が過ぎた後に自分で学ぶ能力があるかどうかで薬剤師としての差が大きくなる期間だと思いますので、新人薬剤師でこの記事を読んでくれた方にはそのあたりを意識して薬剤師としての能力を伸ばして頂けると嬉しいです。

環境で大きな差が出る働き方

ここからが本題とも言える所属する会社による違いです。

コンビニ以上に多いと言われている調剤薬局ですが、働く環境は様々です。

今回は以下のような違いがどのような違いになるかを考えていきましょう。

会社の規模は大きいか、小さいか

経営者が薬剤師か非薬剤師か

上場企業か非上場企業か

門前医療機関は診療所(クリニック)か病院か

働く場所は都会か田舎か

私が薬学生で就職活動を行っていた時は給与・待遇面の他に考えていたことはどの地域で働くのかという程度でした。

新卒で就職した会社に今でも勤めていますが、「あのときにこんなことを知っていたらもしかしたら選択が変わったのかな」という視点で各違いについてまとめていきます。

会社の規模は大きいか、小さいか

一般的には大企業に勤めることは難しく、入社できることが良いこととされているような部分もありますが、薬剤師の就職に限っては大企業への入社が難しいということはあまりありません。

これは大きく展開している企業ほど、採用人数も多いため(200人~300人等)採用枠が大きいためです。

むしろ、入社の難しさという点では、同一都道府県内のみで10~20店舗ほどチェーン展開しているような薬局の方が採用人数が少ないため(5~10人等)に倍率が高く、入社が難しいという場合があります。

「どうしても地元の○○薬局で働きたい」という方は他の学生よりは緊張感のある就活になるのではないかと思います。

本題の会社の規模の大きさによる働き方の違いですが、私は以下のようなものがあると思います。

転勤の有無

給与体系

薬剤師に関わる情報の量

会社規模の違いによるメリット・デメリット

規模が大きい会社では転勤があります。転勤の頻度は会社によるため明言することはできませんが、多い人では半年~1年に1回異動になるということもありますし、1つの店舗で3年以上勤めるようなこともあります。

自分が知らない地域で働いてみたいという方にとっては良い機会かもしれませんが、引っ越しや新しい人間関係を築くのが面倒くさいという方にとっては良い働き方とは言えないはずです。

もちろん、規模の大きい会社でも「全国転勤可」「○○地方での勤務」「△△県のみ異動可」「自宅通勤希望」など、希望は出せますが、動ける範囲が狭くなるほど支給される手当てが少なくなるような給与体系になっています。

そのため、特定の地域で働きたいという方の場合は規模の小さな会社の方が、給与としては安定しており、規模の大きな会社で特定の都道府県のみを希望するよりも良いかもしれません。

というのも規模の小さな会社での給与は規模の大きな会社でいうところの「○○地方での勤務」ぐらいの給与となることが多いからです。これは調剤報酬上で規模が小さな薬局の方が有利となりやすいことや薬局の土地代が地方の方が安いことが影響しています。

ただ、規模が小さな会社では設備投資(調剤器具や電子薬歴等)が十分に行われていないことや薬剤師関連の情報が入りにくいというデメリットもあります。

実際に私が就活をする中で十数店舗の規模の会社でしたが電子薬歴を導入していない会社などもありました。

情報面では、規模の大きな会社は調剤報酬改定の算定要件変更や個別指導の対応が必要になった場合にノウハウを持っていたり、本部が情報をまとめて発信・説明会を開いてくれる等がメリットになります。

規模が小さな薬局ではこのような情報を収集する際に自分で情報にアクセスして理解する力や地域の薬剤師会の研修で学ぶことが求められます。

自分で上記のようなことができる人であれば、人に教えられる以上に深く学べる環境とも言えますが、情報面の格差は意識しなければあまり感じないことなので「自分は大丈夫」と思っていたらいつの間にか”井の中の蛙”になっているという可能性もあるので注意が必要です。

経営者が薬剤師か、非薬剤師か

私が就活をする際に大学の同期の中で話題になっていた部分でもありますが、会社の方針を決める経営者層・社長が薬剤師か非薬剤師かによる違いです。

あまり関係ないようではありますが、人事考課の仕組みを作ったり、会社の方針をどうするかということを考えるのが経営者層です。

そのため、私自身は働く上での満足感に繋がる部分だと感じています。

例えばですが、かかりつけ薬剤師指導料が通常の薬学管理料よりも調剤報酬が高い現状で積極的に算定するようにノルマがあるような会社もあります。

どちらかというと非薬剤師が経営者の会社に多く、薬剤師が経営者の会社では、やることは変わらないのだから無理に同意を得る必要はないと考えているように思います。

個人の意見になりますが、かかりつけ薬剤師指導料をノルマとしてしまうのはあまり良いことだとは思いませんが、人事考課の仕組みや社内の制度等を決めることに関しては非薬剤師の方が優れているのではないかと思いますので一長一短ですね。

このように経営者が薬剤師かどうかでも少し違いがあったりします。

上場企業か、非上場企業か

上場企業かどうかなんて私は就職時に考えていませんでしたが、株式投資をするようになり、改めて考えると大きな違いだと思います。

上場企業と非上場企業で何が違うかですが、それは”株主”の存在です。

株主は経営に参加する権利があり、基本的に上場企業は株主に配当金を出すために利益を出す必要があります。

そのため、上場企業では利益につながりにくいことに対して時間や労力を割くことはあまり好まれません。

そうなってくると社員教育などもある程度以上の費用対効果があると判断されるものは積極的に行えますが、そうでなければ行いにくいものとなります。

その他に、頑張ってくれた従業員へ還元する意味で賃金や賞与を増やすというようなことも利益を残して配当金に回さなければならない以上、難しかったりします。

非上場企業であれば社長の一存で「今年は皆が頑張って利益が増えたから賞与は2割増にするぞ!」なんてこともできます。

また、上場企業よりも非上場企業の方が経営者や役職者と従業員の距離が近いため、自分とは違った視点での意見を聞きやすいことなどもメリットになるのではないでしょうか。

門前医療機関は病院か、クリニックか

配属先の門前医療機関が病院かクリニックかで薬剤師として求められる能力は大きく変わります。

これは扱う処方箋の発行元の診療科の種類や処方内容が違うためです。

「門前医療機関の診療科が○○科だから勉強できない」とは言いませんが、例えば、皮膚科や眼科、耳鼻科などは扱う薬剤数が比較的少なく、薬学的な介入があまりできないということがあります。また、立地などにもよりますが、かかりつけ薬局として選ばれることも比較的少ないのではないかと思います。

門前医療機関が総合病院の薬局やクリニックでも医療モールのような形で複数診療科の処方箋を扱っているような薬局のメリットは学びの種となる疑問が生まれやすいことです。

なにもないところから自分で学べるのが理想的ですが、様々な処方を受けることでモチベーションも続きやすく、学びが継続しやすいことが理想的かと思います。

ただ、日々の疑問が多ければ広く浅くになりやすい場合もあるため、クリニック門前で狭く深くを自分のペースで学ぶ方が自分には合っているという方もいるはずです。

そのため、一概にどちらがいいかとは言い切れませんが「自分にはどちらがあっているのかな?」と考えながら就職活動や入社が決まった会社の人事と話してみるのも良いかもしれません。

「元々、就活で病院も視野に入れてたんだよな」という方は病院前の薬局が配属にしてもらえないかを聞いてみたり、

「自分は一つずつ詳しく学びたい」という方はクリニック前を中心に展開している会社もあるため、そのような会社を就活時に探してみる

というようなことを自分で考えて就活できるのが理想ですかね。

おまけとしては病院門前は土日休み、クリニックは平日と日曜休みの週休2日制、もしくは水曜と土曜の午後が休みなどの働き方になりやすいのでそのあたりも自分の価値観と擦り合わせられると良いのではないかと思います。

勤務先が地方か都会か

勤務先が地方か都会かでの主な違いは、薬剤師会開催の勉強会の頻度と収入に対する支出の割合の違いです。

都会では、自分の行動範囲内で都道府県薬剤師会や市町村の薬剤師会主催の勉強会が月に複数回ある場合なども多いですが、地方では、平均して月に1回あれば良いという程度の場合もあります。

これは新卒で東京近郊の薬局で勤務することになった大学時代の友人から聞いた話ですが、東京近郊では日本薬剤師研修センターで単位認定されている研修が多く、頑張れば3か月程度で40単位集められそうだと聞いたことがあります。(実際にできるかはわかりません)

地方の政令指定都市やその周辺では最低でも半年~1年はかかると思いますし、長い場合は2年以上かかるような地域もあると思います。

その点では都会の方が研修という学びの機会は多いのだと思います。

もう1点の収入と支出の部分ですが、薬剤師の収入は地方の方が高い傾向にあります。これは患者数の違いはあるものの、薬局が全国どこでも同じ調剤報酬で収入を得ているため、土地代などが安い地方の方が収益性が高いことと、地方では需要が供給を上回っていることが多いためです。

そのため、地方の方が収入が高く、支出が抑えやすいという状態となります。奨学金を借りている方などはこのような点も検討するべき点かもしれません。

まとめ

今回は新卒薬剤師の1年目と様々な違いによる環境や薬剤師としての働き方の違いについてまとめました。

何も考えずに就職してしまっても満足いく社会人生活を送れる人もいますし、いくらじっくり選んでも配属先の人間関係で悩んだり、やりがいや待遇面で不満を持つこともあります。

私自身は

「病院もいいけど、調剤薬局の方が給料はいいのかな?」

「ドラッグストアは給料は調剤薬局よりもさらに高いみたいだけど・・・」

「あまり転勤が無い方がいいのかな」

ぐらいの考えしかないままに就職する会社を決めてしまいました。

それで大きな後悔をしているということもありませんが、今回の記事が悩んでいる方の参考になれば嬉しいです。

そんな私は、地方の中規模非上場企業で総合病院前の薬局に新卒で配属されました。

環境も大事ですが、結局は個人の意欲などによる部分も大きいと思います。

 

この記事が参考になったという方は知り合いに紹介してもらえると嬉しいです。

また、2020年4月から定期的に新卒薬剤師向けの記事を作成していく予定です。記事の更新はTwitterでお知らせしてますのでよろしければフォローお願いします。

それでは、次回もよろしくお願いします!

ABOUT ME
ネジ
6年制薬学部を卒業し、現在は地方の薬局で管理薬剤師をしています。 薬や薬局についての情報の他、株式投資や読んだ本の紹介などしていきたいなと考えています。
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